教育

”教育って何のためにあるの?”に明快な答えをくれる本 「教育の力」苫野一徳

教育の目的ってなに?」
「そもそも教育って何のため?」

もしくは

学校で勉強する意味って?」

と聞かれたら何と答えますか?

 

抽象的でハッキリとした答えがないように聞こえるこれら問いに対して、明快な筋道で明確な答えをくれるのがこの本です。

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この本のテーマ

教育とは何か。そしてそれは、どうあれば「よい」といいうるか。

[中略]

この問いに絶対に正しい答えなどありません。しかしそれでもなお、「なぁるほど、たしかに教育とはこのような営みだし、このような教育なら『よい』といえるな」と、だれもができるだけ深く納得できる ”答え” は見出せるのではないか、わたしはそう考えています。

そこで本書では、教育の「本質」「原理」を底の底から明らかにし、その上で、これからの教育をどう構想・実践していけばよいか、具体的に論じていきたいと思います。より「よい」学びのあり方や学校空間のつくり方、また、教師のあり方やより「よい」社会を構想するために教育にできることにいたるまで、できるだけ多方面にわたって、これからの教育を具体的に構想していきたいと思います。

 

学校にはいろんなタイプの先生がいて、この問いに対して一人ひとりが違う意見を持っています。そしてそれはとてもいいこと。

けれどもここで述べられている通り、その多様な意見の中でもみんなが納得できる答えを共有しておくことはとても大切であることは間違いありません。

でもそんな答えあるの?

 

教育の目的=「個人が自由に生きられる社会をつくること」

著者は戦争がくりかえされてきた人類の歴史をさかのぼり、なぜ戦争がなくならないのか?というところか論を展開していきます。

なぜ人間は戦争をやめることができないのか? それは、わたしたち人間が〈自由〉になりたいという欲望を持っているからだ!

ここでいう〈自由〉への欲望とは、ありていにいうと、「生きたいように生きたい」という欲望のことです。人はだれもが、「生きたいように生きたい」という欲望、つまり〈自由〉への欲望を持っている。近代ヨーロッパの哲学者たちはそう考えました。

[中略]

 要するに人間は、自らが生きたいように生きたいという欲望、つまり<自由>への欲望を本質的に持ってしまっているがゆえに、この<自由>を求めて、相互に争い合い続けてきたのです。

わたしたちには多かれ少なかれ、わがまま放題をしたいという欲望があるでしょう。しかしそのようなわがまま放題の状態を、わたしたちは〈自由〉というわけにはいきません。というのも、わたしたちのわがままは、多くの場合、他者の〈自由〉を侵害することになり、その結果、相手の攻撃を招いたり争いになったりと、かえって自らの〈自由〉を失うことになってしまうからです。先述したように、人類の戦争の歴史とは、まさにこの剝き出しの〈自由〉の争いの歴史だったのです。

それゆえ〈自由〉とは、自らが〈自由〉に生きるためにこそ、他者の〈自由〉もまた承認する必要があるのだということを、徹底的に自覚するところにあるのです。自由の相互承認〉を十分に自覚した上で、自らができるだけ生きたいように生きられること、これが〈自由〉の本質、〈自由〉に生きるということの本質なのです。 

つまり公教育は、すべての子ども(人)が〈自由〉な存在たりうるよう、そのために必要な〝力〟──わたしはこれを〈教養=力能〉と呼んでいます──を育むことで、各人の〈自由〉を実質的に保障するものなのです。そして後述するように、そのことで同時に、社会における〈自由の相互承認〉の原理を、より十全に実質化するためにあるのです。

生存・思想・良心・言論の自由や、職業選択の自由など、基本的自由権が法によってどれだけ保障されていたとしても、自ら生存する力、言葉を交わす力、職業に就く力などがなければ、それは絵に描いた餅にすぎません。したがって公教育は、すべての人びとが〈自由〉に生きられるための〈教養=力能〉を育むという、そのような本質を持ったものとして登場したのです。

公教育とは何か。以上から、わたしはその答えを次のように定式化しています。すなわち、「各人の〈自由〉および社会における〈自由の相互承認〉の、〈教養=力能〉を通した実質化」。つまり公教育は、すべての子どもに、〈自由〉に生きるための〝力〟を育むことを保障するものであると同時に、社会における〈自由の相互承認〉の土台となるべきものなのです。

 

戦争がなくならないのは<自由>に生きたい欲望があるから。そして、戦争をなくすために生まれたのが公教育。

だから、各々の人生を自由に生きていくための力を養い、自由に生きられる社会を作るというのが教育の目的である。

すっごく腑に落ちました。

 

さいごに

ぼくの先生としての柱の一つに「人を好きな人を育てる」というのがあります。

苫野先生のおっしゃる〈自由の相互承認〉というのが少しそれに近いのかな、と読んでいて嬉しかったです。

『<自由>に生きるための力を育む』ことは、おっしゃる通り、みんながみんなの納得する答えになりうるのではないかと思います。

 

ぶれない大切な軸のようなものを得られたように思います。これから大切にしていこう。

 

さいごまで読んでくださって、ありがとうございました。
ではまた!

 

教育の力 (講談社現代新書)

教育の力 (講談社現代新書)

  • 作者: 苫野一徳
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/03/19」