まいどおおきに!
青年海外協力隊としてサモアで活動中のネギヤンです。
先日、新装版とともに発売された「漫画 君たちはどう生きるか」を読みました。
この記事ではその読書メモを書いていきます。
一言言わせてください。
名作です。いろんな人、というか今、生きている人全員に読んでもらいたい。
原作はなんと1937年に出版
この漫画の原作は、なんと今から80年も昔の本。
『君たちはどう生きるか』は、児童文学者であり雑誌「世界」の編集長も務めた吉野源三郎の小説。山本有三が編纂した「日本少国民文庫」シリーズの最終刊として1937年に新潮社から出版され、戦後になって語彙を平易にするなどの変更が加えられてポプラ社や岩波書店から出版された
。児童文学の形をとった教養教育の古典としても知られる
。
終戦前から現代までの激動の80年間ずっと読み継がれているのです。
すごすぎる。
これを名著と呼ばずしてどの本を名著と呼ぶのでしょうか。
あらすじは以下のとおり。
旧制中学二年(15歳)の主人公である本田潤一ことコペル君は、学業優秀でスポーツも卒なくこなし、いたずらが過ぎるために級長にこそなれないが人望はないではない。父親は(亡くなるまで)銀行の重役で、家には女中が1人いる。同級生には実業家や大学教授、医者の息子が多く、クラスの話題はスキー場や映画館、銀座や避暑地にも及ぶ。コペル君は友人たちと学校生活を送るなかで、さまざまな出来事を経験し、観察する。各章のあとに続いて、その日の話を聞いた叔父さんがコペル君に書いたノートという体裁で、「ものの見方」や社会の「構造」、「関係性」といったテーマが語られる、という構成になっている。
漫画版の本作では、
コペル君の学校や日常生活での体験(漫画)
→叔父さんからのノート(文章)
→コペル君の学校や日常生活での体験(漫画)
→叔父さんからのノート(文章)
→くりかえし
という構成になっています。
体験場面を漫画化されていることでコペル君の心境がより鮮明にイメージできることで、叔父さんからのノート( = 原作者のメッセージ)がより深く頭に入ってくる。
漫画×名著の最強ハイブリット作品読んでて感じました。
読書メモ
本作を読んでぼくの心に残ったメッセージは3つ。
1. 生きる意味は教えてもらえない
「世の中とはこういうものだ。その中に人間が生きているということには、こういう意味があるのだ」などと、一口に君に説明することは、誰にだってできやしない。よし、説明することのできる人があったとして、も、このことだけは、ただ説明を聞いて、ああそうかと、すぐに飲み込めるものじゃあないのだ。
それは、君がだんだん大人になってゆくにしたがって、いや、大人になってからもまだまだ勉強して、自分で見つけてゆかなくてはならないことなのだ。
[中略]
冷たい水の味がどんなものかということになると、もう、君自身が水を飲んでみないかぎり、どうしたって君にわからせることができない。誰がどんなに説明してみたところで、その本当の味は、飲んだことのある人でなければわかりっこないだろう。[中略]
−こういうことが、人生にはたくさんある。
こういうことについてまず肝心なことは、いつでも自分が本当に感じたことや、真実新を動かされたことから出発して、その意味を考えてゆくことだと思う。君が何かしみじみと感じたり、心の底から思ったりしたことを、少しもゴマ化してはいけない。そうして、どういう場合に、どういう事について、どんな感じを受けたか、それをよく考えてみるのだ。
そうすると、ある時、ある所で、君がある感動を受けたという、くりかえすことのないただ一度の経験の中に、その時だけにとどまらない意味のあることがわかってくる。それが、君の思想というものだ。
この節を読んだとき、普段の自分と照らし合わせてドキッとしました。
なぜか。それはここで言われている「生きる意味」に限らず、そういった一般的な答えのない問いに対する答えを、ぼくは身の回りにある情報で代用していたことに気づいたからです。
問いについて調べる→自分の思っていることに近い情報を見つける→それを自分の「答え」としてわかった気になるといった具合に。
そうやって出来上がった、パッチワークのような自分の思想は本当に自分の思想といえるわけがありません。
常に自分の体験から出発して正直に考えてゆけ
2. よい人間関係とは
人間は、人間同志、地球を包んでしまうような網目を作り上げたとはいえ、そのつながりは、まだまだ本当に人間らしい関係になっているとはいえない。だから、これほど人類が進歩しながら、人間同志の争いが、いまだに絶えないんだ。
[中略]
では、本当に人間らしい関係とは、どういう関係だろう。
ー 君のお母さんは、君のために何かしても、その報酬を欲しがりはしないね、君のためにつくしているということが、そのままお母さんの喜びだ。
君にしても、仲のいい友達に何かしてあげられれば、それだけで、もう十分うれしいじゃないか。
人間が人間同志、お互いに、好意をつくし、それを喜びとしているほど美しいことは、ほかにありはしない。そして、それが本当に人間らしい人間関係だと、ーコペル君、君はそう思わないかしら。
自分のまわりの人間関係を想像してみる。そして自分に聞いてみる。
「自分は、まわりの人に何かしてあげられているか?好意をもらってばかりじゃないか?」
まわりの人に好意をつくすこと。まったくもって今の自分に足りていない。痛感しました。
今の自分の活動に関してもそう。
サモアの小学校にきて2ヶ月。ぶっちゃけ自分が想像していたような活動は1%もできていません。
子供を奴隷のように使う先生。
まったく子どもの学びの場として機能していない学校。
正直言って、サモアの学校も先生も嫌いになりかけてました。
でも、そうやって自分が文句を言って嫌いになったところでなにかいいことあるのか?
どんどん周りとの関係が悪くなっていくだけじゃない?。
そうなったら何しにここにきたのかわからない。なんで自分の人生の貴重な2年間を費やしているのか。
だから、まずはまわりの人を好きになって、喜んでもらうことからコツコツやっていこう。そうして土台ができたら、次にチャレンジすることもやりやすいし、新たな課題も見えてくる気がする。
3. 「僕たちは、自分で自分を決定する力をもっている」
僕たちは人間として生きてゆく途中で、子供は子供なりに、また大人は大人なりに、いろいろ悲しいことや、つらいことや、苦しいことに出会う。
もちろん、それは誰にとっても、決して望ましいことではない。しかし、こうして悲しいことや、つらいことや、苦しいことに出会うおかげで、僕たちは、本来人間がどういうものであるか、ということを知るんだ。
からだの痛みは、だれだって御免こうむりたいものに相違ないけれど、[中略]ー それによって僕たちは、自分のからだに故障の生じたことを知り、同時にまた、人間のからだが、本来どういう状態にあるのが本当か、そのことをもはっきりと知る。
同じように、心に感じる苦しみやつらさは人間が人間として正常な状態にいないことから生じて、そのことを僕たちに知らせてくれるものだ。そして僕たちは、その苦痛のおかげで、人間が本来どういうものであるべきかということを、しっかりと心に捕えることができる。
人間である限り、過ちは誰にだってある。そして、良心がいびれてしまわない以上、過ちを犯したという意識は、僕たちに苦しい思いをなめさせずにはいない。
しかし、コペル君、お互いに、この苦しい思いの中から、いつも新しい自分を汲み出してゆこうではないか。ー 正しい道に従って歩いてゆく力があるから、こんな苦しみもなめるのだと。
僕たちは、自分で自分を決定する力をもっている。
だから過ちを犯すこともある。
しかしー
僕たちは、自分で自分を決定する力をもっている。
だから、謝りから立ち直ることもできるのだ。
この節が、ぼくは一番好きです。
これほどまでに、心が苦しみを感じることの意味と人間の強さを明快に言語化してくれている文章はないのではないでしょうか。
苦しさやわだかまりが心の中にあるならば、一度立ち止まって自分で自分を見つめることが大切。
最近モヤモヤしっぱなしです。
しっかりと立ち止まって、これからどうしていくか考えてみよう。
漫画部分も最高に素晴らしい!
と、ここまでずっと叔父さんのノートの部分で感銘を受けたところを紹介してきましたが、漫画の方も最高です。
上の方にも書きましたが、これだけスッと本のメッセージが心に入ってくるのは、漫画の力あってこそです。
たくさんグッとくるシーンがあったのですが、あげすぎるとキリがないので1番好きなページを紹介させてください。
※Airdropの調子が悪くてipadから画像が送れないので、後日載せます。なんでだろうなあ。OSアップデートしたから?
さいごに
アツくなって書きすぎて、だいぶ長くなってしまいました。笑
ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございます。
ぼくは、ぼくの今いる環境や周りの人たちのことを思い浮かべながら読みすすめ、いろんなヒントをもらえました。
なんだか、80年ものあいだ、読み継がれている意味が少しわかりました。
時代が変わるにつれて環境も目まぐるしく変化しているけれど、きっと今も昔も、大人でも子供でも人生で大切なことの根本の部分って変わらないんだなあ。
10人が読めば10人がそれぞれ、自分の今の状況や生き方へのヒントを得られる。そんな本です。
気になる方は是非とも読んでみてください。サクッと読めますよ。kindle版もあります。
また余談ですが、宮崎駿監督の次回作のタイトルが「君たちはどう生きるか」だと発表されたみたいですね。
原作のアニメ化、というわけではなさそうですが、この本が関係していることは200%たしかです。
と、いうわけで、本当にオススメの1冊です。
最後まで読んでくださってありがとうございました!
ではまた!