まいどおおきに、ネギヤン(@negiyaaaaaan)です!
サモアにきてはやくも1年。
1年ということは活動の「折り返し」です。
そこで、先週の金曜日に中間報告会なる
ってのをプレゼンする機会がありました。
おそらく、青年海外協力隊のほぼすべての隊員がおこなうんじゃないのかな?
この1年間自分がやってきたことや考えてきたこと、そしてこれからあと7カ月間なにをしていきたいと思っているかってことについて、思いと行動を整理して話をさせてもらいました。
この記事では、その中間報告プレゼンをこのブログ上でおこなわせていただきます。
あなたが同じように青年海外協力隊で活動している仲間なら、「うまくいかずにもがいているのは自分だけじゃないんだ」って少しくらい気持ちが楽になってもらえるはず。
「青年海外協力隊ってどんなことしてるん?」って気になる人には、現役隊員の生の声をお伝えすることで具体的なイメージを持っていただけるでしょう。
さきにネタバレをすると、わいはこの1年間なーんにもできてません。
活動の成果も課題もクソも、1年間ずーっともやもやしっぱなしでまだ始まっていないような感覚なんです。
では、始めさせてもらいますね。
カッコいい話はできませんが、よければ見ていってやってください。
はじめに

それでは私ネギヤンの、中間報告をさせさせていただきます。
サモアに来てから今までの活動を、この5つのセクションに分けてお話します。
もしかすると初めてこのブログを読んでくださる方もいらっしゃるかもしれないので、軽く自己紹介を。
ワイの基本情報はこんな感じです。
「最近の悩み:髪の毛」というのは、4ヶ月ごろ前に坊主にしてから伸びっぱなしの髪の毛をどうすべきか悩んでいます。
うっとうしいんで切りたい気持ちはあるんですけど、サモアで髪の毛を切るとなると今の状態ではまた坊主に逆戻りするしか選択肢がありません。
帰るまでに髪の毛を伸ばして、帰ったら刈り上げパーマのブロッコリーみたいな髪型かアフロにしたいと思っているので、耐え忍ぶしかないかなぁ、でも暑苦しいし切るべきかなぁ…と悩んでいます。いきなり余談でした。
ではワイの住んでる村を紹介していきます。
アフェガという村です。
サモアの首都アピアがあるウポル島にあります。
左上の「Faleolo」って書いている場所がサモアの国際空港がある場所なので、空港から首都までの間に位置している村です。
村の目印は、このでっかいこの Ulu (ブレッドフルーツ)の木。
ってツッコンでくださったかた、ありがとうございます。
これは家の玄関からの景色。
アフェガ村には海側の地域と山側の地域があり、わいの家は海側にあります。
山側の地域はこんな感じで、舗装されていない道と生い茂るココナッツツリーといったトロピカルな雰囲気です。
これがわいのファミリー。
マイファミリーならぬ、ワイファミリーですね。
ワイをふくめて8人で暮らしています。ホンマに愛が深い家族で、超大好きです。
ホームステイを開始したころは揉めたりもしましたが、今はめっちゃ仲良し。
第二の家族というよりも、もはや本物の家族のように思ってます。嘘偽りなく、です。
そんな我が村にある小学校が、わいの任地。
Afega Primary Schoolです。
「ド」がつくほどのピンクの校舎。なんともいえないセンスの悪さがあります。
学校の基本的な情報はこんな感じ。
児童400人は、サモアではけっこう多いほうです。
クラスが10クラスあるのに対して、先生は12人。十分に人手が足りている状態です。
先生も校長も、めちゃくちゃいい人で人として大好きです。
でも同僚として考えると…その働かなさはなかなかです。(笑)
子どもたちは Ulavale (サモア語で “やんちゃ”)なんですけど、Aulelei (サモア語で “かわいい”)です。大好き。
1年間の活動内容を整理してみた
では、そんなAfega Primary Schoolで1年間どんなことをやってきたかを話していきます。
わいの活動は大きく分けてこれら2つの柱からなっています。
まずは1つ目の柱、個人の活動について。
ご覧の通りの時間割で、体育の授業をやってます。
サモアは日差しが超キツイので、できるだけ涼しい時間帯にと思って朝1番の時間で。
なんですが、実は
「体育の授業」なんてことは、もともと要請には記載されていませんでした。1文字たりとも。
「要請ってなに?」ってかたは、こちらの記事をどうぞ。
じゃぁ、なんでわいは体育の授業をやっているのかというと
サモアの子たちの姿を見て「もったいないなぁ」と思ったからです。
サモアの子たち(大人も)って、身体能力のポテンシャルがものすごく高いんすよね。
でも、学校で体育の授業がおこなわれていないこともあって小さい頃からの運動の経験がものすごく少なく、乏しい。
その乏しい運動の経験を何とかしてあげたいと思って、『多様な動きの経験をする機会を作る』という目的で体育の授業をしたいと校長に打診したところ、GOサインが出たので授業をやっています。
あと、単純に体育してるときに子どもたちがものすごくいい顔するってのも体育をやってる大きな理由です。
これ、2人1組で座った状態から背中合わせに立つっていう動画なんですが、おそらく再生できません。
こんな感じの体ほぐしの運動を、毎時間とりいれてます。
かれこれ約1年間やってきて、体育の授業は子どもたちもものすごく楽しみにしてくれています。
しかし、課題が見えてきました。
それは、
サモアの子どもたちは全然ルールを守らないということ。
また、考えながら・頭を使いながら動くことがものすごく苦手ということです。
考えながら動けないことについては、サモアの文化である「ササ」と呼ばれる体罰が大きな原因だろうと考えています。
なので、最近はそういった体ほぐしの運動以外にも、ルールの中で動いたり協力したりする経験を積めるように、ゲーム性のある運動にも取り組んでいます。
写真は転がしドッチをしてる様子です。ゆくゆくはドッチボールに発展させていって本気で勝負したいなぁ、って思ってます。
体育についてはこんな感じ。
次に算数の授業について。
この1年間の体育の算数の授業をふり返って、大きく分けて3つのセクションに分けることができると考えました。
まずは、Season 1
赴任されら当初から、数ヶ月間の話です。
「カリキュラムに沿った授業」と題して、ミルフィーユの画像を貼り付けています。
と思う人が多いと思いますが、答えは簡単。
サモアのカリキュラムはミルフィーユみたいだからです。
と言うと
って思うと思うので、説明します。
サモアのカリキュラムは、幼い学年でも比較的むずかしい内容を教えます。
そしてそのむずかしい内容を、次の年も、また次の年も同じような内容を教えていくことで定着を図るカリキュラムなんです。
その同様の内容を何度も積み重ねていくプロセスがミルフィーユみたいだと感じたのでここでミルフィーユの画像を載せています。
で、赴任当初はそのサモアのカリキュラムに沿って授業をしていたんですが、2つの壁にぶつかりました。
この2つです。
まずは「言語」の壁について。
基本的に、サモアの子どもたちは英語が話せない子が多いです。日本での中学1年生にあたるYear.8 の子どもたちですら、肌感で言って全体の30%ぐらいしか英語が伝わりません。入試や学力テストの問題は全部英語なのに。
となると、必然的にサモア語で授業をすることになります。
問題の題意や用語についてを英語で説明するのでさえ難しいのに、それをさらに10日そこそこしか研修を受けていないサモア語に変換するなんていうのは、体操でいうところのG難度。シライです。
これがわいがぶち当たった言葉の壁。
伝えたくても伝わらない。
子どもにとっても自分にとってもものすごく非効率な時間ばかりでした。
もう一つの壁が「計算能力」です。
さっき書いたように、サモアのカリキュラムの内容はむずかしいです。
じゃあ、サモアの子たちはそのカリキュラムについていってるの?というと、答えはNOです。
カリキュラムと子どもの実態の乖離が著しいという大問題があります。
これは150%先生の責任であり、いわゆる取りこぼしが多発しているためです。
「三角形の面積を知っているけど、掛け算にゃん悪にができないから解けない」みたいなことがざらにあります。
だから
って感じてました。
なので方向転換をしました。
基本的な四則演算だけにフォーカスを当てて、子どもたちに指導していくことにしたんです。
そこから Season 2 が始まりました。
タイトルは『バイバイ棒計算』です。
写真をご覧の通り店様サモアの子たちは、こうやって棒をたくさん書いて計算をします。
時間がかかるし間違いやすいし、この方法ってよくないと思うんです。だからこれをなんとかしようと試みました。
棒計算ををやっつけようとトライしたんですね。
その結果
無理でした!笑
惨敗。。。
その理由は、ぼくたち日本人とサモアの子たちの数の概念が違いすぎるからです。
例えば「5」という数字をイメージしてください。
日本の算数教育を受けてきた僕たちは、こんなふうに5つのリンゴ(あるいは他のもの)を思い浮かべることができるはずです。
そしてその「5」は、「2と3が合わさった数」であることや「2と3を合わせると5になる」というイメージができますよね。
でもサモアの子たちはそうではありません。
サモアの子たちは、こんなふうに数直線的に数をとらえています。
どういうことかと言うと
こんな感じで「5は2の3つあとの数字」というふうに、数を量じゃなくて順番でとしてとらえているんですね。
つまり幼稚園児がお風呂で100まで数を数えるように、数詞として数字を唱えることが¥はできるけれど、それに量の感覚がともなっていないんです。
これはものすごくタフな問題です。
小さい頃からの積み重ねでそうなっているから、変えることはなかなか困難。
数の感覚を養うことが計算能力のアップにつながるとわかっていながらも、これだけで2年間が終わってまうんじゃないかという気がしてきました。
実際、あれこれ試しましたがなかなか芽が出ませんでした。
そこで同期にアドバイスをもらったりして、発想を変えることにしたんです。
棒を何本書いても、指を使ってもいいから、とにかく速く正確に計算できるならオッケーやん!と。
そこから棒計算退治にこだわるのはやめて、Season 3 に。
基礎計算を1からおさらい地道な指導を今はしています。まだまだ先は長い。
算数の授業はこんな感じです。
ここまで聞いてくださってありがとうございました。
今だいたいこの辺にいます。折り返しくらいかな?
もう少しお付き合いいただければ幸いです。
では、続けますね。
日本の学校との交流をしています。
今までに日本で勤務していた学校と2度、交流しました。
1回目は学年全体でお互いの歌とダンスを見せ合う活動。
2回目は外国語活動の時間を使ってお互いの自己紹介と軽い質問をする活動をおこないました。
どっちの授業もおたがいの学校の子どもたちがとても楽しんでくれていて良い時間を過ごせました。
9月からは神奈川県の小学校との交流も計画中です。
2つ目の柱、チームでの活動についてサクッとお話しします。
サモアの隊員たちは、物理的にも心理的にも距離が近く、小学校隊員が集まって協働して活動しています。
たとえばこの『出張運動会』
こちらの記事に詳しいことが書いていますので、お読みください。
また、『算数大会』と題して四則演算のテストを定期的に実施しています。
レベルは大体日本の小4レベル。基本的な計算ばかりです。
でも平均点はご覧の通り。課題が山積みです。
ギャップに苦しんだ1年。そしてのこり7ヶ月
と、ここまで
ってな口調で話しを進めてきましたが…
正直、口だけです。
ずっとモヤモヤしっぱなしで、全然何もできていません。
何ならまだ活動が始まってすらいない。そんな感覚です。
とにかく手ごたえがないんですよね。
それにはいくつかの理由があるんですが、1番大きいのは「イメージしていた自分の姿」と「実際に今ここにいる自分の姿」とのギャップです。
イメージと実際のギャップってのは、言ってしまえば青年海外協力隊あるあるです。
だから、そんなことで1年間もモヤモヤすんな!って感じる人も多いかもしれません。
でもしちゃうんですよね。だから仕方ない。
サモア来る前は、これら左上に書いてある2つの活動をする自分をイメージしていました。
3年間小学校で働いてきたので、そこで得た知識やノウハウを少しでも広められたら、という気持ちでサモアにきたんです。
でもサモアに来ると、サモアの人たちにとってしょせん自分は『新しく転勤してきた先生のうちの1人」』という立ち位置でした。隣の学校から移動してきた、みたいな感覚。
でも冒頭でお話しした通り、自分の学校は先生が十分に足りているんですよ。
だからマンパワーとして現地の先生たちには認識されているけれど、あきらかに先生の供給過多でマンパワーになり切れないという事態が発生しました。
- 来る前にイメージしていたポジション
- 求められているポジション
- 実際についた自分の置かれたポジション
それぞれがまちまちで、立ち位置が不明なもやもや感がこの1年間ずっととれません。もちろん今も、です。
正直、必要とされてる感がないんですよね。
そんな時に、茂木健一郎さんのブログでこんな言葉に出会いました。
そこで自分のコントロールできることとコントロールできないことってなんだろうと考えてみました。
答えがこれです。
青文字が自分でコントロールできること。
赤文字ができないこと。
ちょっと詳しく説明さしてもらいます。
当たり前ですが、文化なんてよそ者の自分変えられるわけがありません。
それは百も承知。
問題は、わいが関わっている「教育」も文化の一部である、ということです。
もともと教育って惰性が強いんですけど、特にサモアはその文化の影響から教育の惰性がもんんんんのすごく強いと感じています。
理由は次の通り。
左側のピンクの枠が、教育の惰性の強さにかかわってると感じるサモアの文化です。
まず、とにかく働きません。
ということは、サポートができない。主体的な変化が見込めない。
次に年上が絶対である文化・強すぎる愛国心と誇り。
よその国から来た、しかも20代そこそこの若造の意見に力なんてありません。
最後に「働かなくても生きていける」ということ。
サモアはそこらへんに食べ物があるし、海外在住サモア人からの仕送りで生計を立てる家系も多くあります。
そうなると、いっぱい勉強していい職についてやろう!とか、もっといい教育をして国を変える!っていう教育への向上心やモチベーションが上がりにくいです。
これらがここサモアの教育の惰性がものすごく強いと感じている理由です。
子供は好きだし授業も楽しいんですよ。
でも、自分がこの国にいる時間だけの、刹那的で広がりのない活動にむなしさを感じています。ただ消耗しているだけに思ってしまいます。
より良くなる意思がないなら、今のままでええやん。なんなら自分必要ないやん、とすら。
でもそんなこと言っても仕方ないので、自分がコントロールできる部分も考えてみました。
それがこの2つ。
自分の考え方と行動は、自分次第でいつでも変えられます。
そこでわいは割り切ることにしました。
うちの先生たちはぶっちゃけ意欲が低いです。だからそこは切り捨てる。
刹那的ではあるけれど子どもとの授業はやっぱり楽しいし、その子の未来に少しでも影響があるかもと考えると、価値を感じることもできます。
だからそこにフォーカスして、子どもに向けた活動に割り切ってやっていこうと決めました。
でも、とは言え…
やっぱり捨てがたいです。
ここサモアで先生への技術の移転にトライしてみたいという気持ち。
というか、それがメインだと思ってここに来たんで。
先生たちの授業については1年間で課題がはっきり見えてます。
サモアの授業って講義的で、先生のレトリックやパフォーマンス力が全てみたいな風潮があるんです。それをなんとかしたいんです。
そこで環境を変えようと今うごいているところです。
つまり働く環境変える(増やす)ことにしました。
Samoa Primary Shcool という私立の小学校です。サモアで1番学力の高い学校。
残りの期間は、ここでも活動していきたいと考えています。
「金持ちの私立の学校で活動」って、ボランティアとか国際協力っぽくないですよね。
でもこの国ではそういったアプローチこそ必要なんです。トップダウンでしか変わらない国だから。
きっと、ここで育った子たちは将来国の良い役職につきます。先生になる子も少なくないはず。
また、この校長先生がすごくいい人で(三人も校長先生がいる!)、公立小学校から転勤してきた先生をここで育て、ゆくゆくは再び公立の小学校の校長先生として戻ってもらってサモアの教育に良い影響与えたいとっていうビジョンをもっています。
それに共感しました。自分のやりたかったことにマッチしてる気がしました。
そんなしっかりした学校だけあって、熱心でよく働く先生が多いです。
あくまでも「サモアの学校にしては」ですけどね。笑
なので今働いている小学校よりも、先生へのアプローチができるんじゃないかと期待してます。
と、いうことでまとめるとこんな感じです。
のこりの7ヶ月は活動の目的と対象によって、2つの環境で活動していこうと思ってます。
どんなふうになるのか。
やっとこさ少しやりたいことが出来るような気がして、ワクワクしています。
1年間サモアに住んで、活動してきて、初めてです。
サモアという国の印象
最後に、サモアの印象について少しお話しします。
ここはまさしく「楽園」です。
住んでて楽しいし、ここにいる人みんな幸せそうに暮らしてます。
ここの人たちの幸せは、家族とのんびり暮らすこと。
だから、自分たちのような海外からのよそ者が「自己実現」「モノをたくさん持つ」みたいな『発展』という大義名分のもとに幸せの価値観を押しつけているようで、違和感を感じています。
なんやかんやでサモアのことは大好きなので、何十年か先に帰ってきてもこの国は今のままであってほしいなぁ、というのがわいのサモア観です。
ご静聴ありがとうございました。
さいごに
最後までお付き合いくださり、ありがとうございます。
もっと
とか
みたいなかっこいい発表ができればよかったんですが、無理でした。笑
これが背伸びをしていない今の自分です。
ほんと、この1年間なんもできてないです。自分の非力さをひしひし感じるばかり。
でも、こうやってうまくいかなくてモヤモヤと悩んでいる経験が、後々ふり返ったときに味が出るのかなあ、なんて考えたりもしています。
のこり7ヶ月。
学校がある期間なんて、たったの4ヶ月です。
きっと7ヶ月後もかっこいい報告はできないでしょう。
が、「あーもっとこうしておけば…」みたいな後悔じみたモヤモヤができるだけ少なくなるよう、ボチボチやっていきます。
最後になりましたが、もしもなにかご意見やご感想があればTwitterで連絡いただければうれしいです。
長々とした文章を、最後まで読んでくださって本当にありがとうございました!
ほなまた!